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人形が夢見るは如何なる未来か(4) ーブルディカの記憶ー

 アデンの街を囲む城壁にはそれぞれに門が配置されており、北側には商船が出入りする大きな港が面している。外部からの侵入には船等の目につきやすい乗り物が必要となるためか、警備は他の門よりも比較的配置がゆるめになっている。
 少なめの警備兵の間を通り過ぎ、リュミエール一行は港にある灯台へと向かった。
 商船の入荷作業はすでに終わっていたようで、他に人影は見当たらなかった。一行は螺旋式の階段を登って、途中にあった設備室の扉を開ける。勿論、リュミエールの背後にはいつでも刺せる位置に短剣が握られていた。
 やや薄暗い部屋の中、高めに設置された丸窓から差し込む光が宙に浮く埃を煌めかせていた。
 一番奥の壁際には小さめの鉄格子があり、そこに錬金術士を象徴する薄緑色の服を纏った女性が入れられていた。
 リュミエールには一目でそれが誰なのかがわかった。
 「・・・・ラビエンヌ」
 鉄格子の内側から手が届かない場所に、何枚かの札が貼り付けられている。あまり見たことがない様式の術ではあるが、部屋の中にあってラビエンヌの魔力を感じない事から、どうやら鉄格子の中の魔力を封印する効果があるらしい。
 「彼女がなかなかお話をしてくれなくてね」
 ブルディカと名乗った男がリュミエールを鉄格子に向かって案内するように、手を差し出した。
 「貴女にご足労願った訳だ。とりあえず、そこに入ってもらおうか」
 黙って指示に従ったリュミエールは、鉄の檻の中で親友を見た。まだ酷い真似はされていないようで、少し安心した。
 「今すぐにでも二人には話を聞きたいところだが、ここじゃゆっくりも出来ないんでね」
 おい、と配下の者に声をかけ、何やら小声で指示を出すと二人ほどが部屋から出て行った。
 「ここから夜を待って船で移動する。それまで親友との再会を楽しむといい。まあ、我々と話をしてくれないなら、その気になるまで我々を楽しませてもらおう。海賊島に到着するまで時間はたっぷりとあるからな」
 いやらしく目元を歪ませて二人を見る男の視線には、あからさまな性欲が込められている。
 その時、扉が開いて先ほど出て行った配下の二人が戻ってきた。
 途端にその場に倒れ込む。
 振り向いた男が腰にあった剣に手を伸ばした刹那、足元を素早く走り抜ける何かに気を取られた。
 確かめようと顔を動かそうとして、自分の首に当てられた冷たい存在に初めて気が付く。
 漆黒に染め抜かれたそれは、緩やかな曲線を描く短剣であり、男はそれが何か知っていた。
 「・・・本物のお出まし、か」
 短剣を握るは、王から依頼を受けたダークエルフのブルディカ本人であった。
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